《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★


「秀馬さん! ナイスアイディアですよ。俺に助け船を出してくれるんすね?!」
歩が秀馬の腕を掴んできた。

ーーー助け船……。歩は俺が可愛がってきた後輩だ。その歩が本気なら、協力するのが当たり前だ。


「ああ、だから、きっちり教えてやれ。姪の髪型もひどかったから」


「へぇ、でも……なんか秀馬さん、俺より一子ちゃんと親しくないっすか?」


「親しくない。たまたま、偶然会ったりしただけだ」

苦そうにビールを飲む秀馬を歩は、ちらっと見てからビールの入ったグラスを一気にあけた。


ーーーこれでいい。歩が一子を好きなら週末、歩に行かせるのが一番だ。俺がわざわざ行く意味が無いからな。


「いつっ……」
木製のテーブルの端に手を置き、少し動かしただけなのに秀馬の掌にチクリと痛みが走った。


ーーー棘か?

掌に目を凝らすと、手首に近い辺りに木の破片が棘みたいに刺さったようだった。

「秀馬さん、どうかしました?」

「いや、小さい棘が刺さっただけだ。どうって事でもない」

ーーーどうってことのない小さい棘だ。放って置いても構わないくらいに。


少しだけ笑みを浮かべ秀馬は、心配そうに見てくる歩の肩をポンと叩いた。
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