《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
◎けんさく



◎けんさく


「うわ〜〜! 見て見て! 一子姉!」
朝から大騒ぎの三津子。ドタバタしながらキッチンにいる一子の所まで来て、一子の目の前にスマホを出した。


真っ暗な画面を見せられた一子は、味噌汁の入った鍋をかき混ぜる手を止めた。

「真っ暗。なんなの? トンネルの写真?
もしかして、朝から心霊? そういうの怖いからやめて」

「え? ああ、消えてた。コレコレ!」
スマホの画面をスライドさせて、再び画面を見せる三津子。


「暗いじゃない。誰?コレ」

目を凝らすと、抱き合う男女の姿が映っていた。


「だから! ほら、おにいさんだっての! カリスマ美容師の!」

「え?」


もう一度画面を注視する。

ーーーあ、本当だ。真田さんみたい。相手の女性……すごく綺麗な人。この人なのかな……真田さんの好きな人って。


「ね? 驚いたでしょ。ショック? 一子姉」
お椀に味噌汁をよそいながら、一子は笑った。

「どうして? 別に真田さんとは特別な関係でもないし。どうも思わないけど」


「えー、マジで?」

「ほら、それより味噌汁運んでよ」

三津子にお椀を渡して、一子は肩を落としていた。


ーーーどうして、こんなにショックなんだろ。真田さんの周りに素敵な女性が、いるのは当たり前なのに。


ぼーっとしていた一子は、ごはん茶碗に味噌汁をよそっていることに気づいて、慌てて味噌汁を鍋に戻していた。
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