君だけに、そっとI love you.
もしかして、私を女の子として見ていないのか坂口くんは……?
ハナクソを言っても普通に通じて会話をしてくれる女の子だと思われている・……。
私の一方的な考えすぎかな。
それにしても、デリカシーが無さすぎな気がします、ちょっと私の隣の席の人。
ゴホンッゴホンッと咳払いを二回して息を整え、真っ直ぐ黒板の方を見る掬恵。
隣にいる坂口くんがぶつぶつと何やら独り言を言っているようだ。
気になる、気になる……。
うっーん、気になる!
目線だけジロリと動かして坂口くんの方を見ている掬恵。
「一羽、二羽、三羽、……あっ。あぁ~あ……、電線にとまっていた雀が一羽飛んでいってしまった──」
坂口くん、もうすぐ自己紹介の番が回ってくるというのにこの場に及んで電線にとまっている雀を呑気に数えているなんて、
やっぱり、ただ者ではないような気がする。