明日はきらめく星になっても
エピローグ

楽園の庭

この場所に根づいて何年になるだろう…。

周囲の景色も、年とともに、随分変わってしまった気がする…。

変わらないものがあるとしたら…

この庭にある園舎と幾つかの遊具だけ…。

訪れる人も、働く者も、大人も、子供も、

皆、様々変わって行った…。

ここは…ずっと、そういう場所だった…。


「人の集まる場所に戻したいの」

車椅子を押した女性が話していた。

その頃は確かに、誰も訪れない場所になっていた…。

「そうしておくれ。もう一度…」

か細い声で返事があった。


ーーーそうして…

ここは、再び人の集う場所となった……。


朝日の指す庭に響く、挨拶の声。

子供達の足音、人々の笑い声…

楽園という名の庭の片隅で、再び耳にすることになった…。

中には私の陰で、泣く者もいた…。

その者を慰め、抱きしめる者もいた…。

土を掘り、何かを埋める者もいれば…

その物を掘り返す者もいて…。

落ち葉を集める者もいれば…

蹴散らす者もいた…。


庭の中で…

時は…

ゆっくりと流れて行く…。

確実に…

明日という日を…

探し求めて………。
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