少しずつ、見えるミライ
「ダメだよ。風邪だったら感染っちゃう。」

「いいよ、未帆さんの風邪だったら。」

「でも、ひどくなったら撮影に影響しない?」

「大丈夫。気合いで治す。だからね、お願いがあるんだけど.....。」

「なぁに?」

「今日から、一緒に寝てもいい?」

「え?」

「ダメ?」



またそうやって、目を潤ませて。

こういう時だけ、子犬のふりをするのはズルい。



だけど、今まで我慢してくれてたのも知ってるし、それも私が決め手の言葉を言わなかったからなんだよね。

だから、ここからは彼の好きなようにさせてあげる。

本当のことを言うと、そろそろ私もそうしたいし.......



「いいよ。」

「やったぁ!! ありがとう。」

「うん。」

「あ、あとさ、一か月、経ったけど、これからもずっと未帆さんと一緒にいていいんだよね?」

「うん、もちろん。」

「てか、いなくなったら、ヤダ?」

「.....うん。」



甘過ぎる会話の連続に、さすがにちょっと恥ずかしくなって来て、下を向いたままで頷くと、彼は頬と頬をピッタリくっつけて、私をしっかりと抱え込むように抱きしめた。

初めて本当の意味で、彼と気持ちが繋がった気がした。



これから彼と一緒にいたら、私はもっと素直になれるのかもしれない........
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