少しずつ、見えるミライ
でも、彼は何だかとても楽しそう。

ずっとニコニコしているし、視線を反らしていると、急に私の顔を覗き込んだりして来る。

その度、ドキドキしちゃうのを、顔に出さないようにするのも一苦労。

これじゃ、私の方が弄ばれてるみたいだ。



だけど、彼は素直に話を聞いてくれるし、一度で全部憶えてしまう。

わからなければ、ちゃんと質問もしてくれる。

接客をさせてみても、すでに文句の付け所がないくらい上手だし、何よりお客さんがみんな笑顔で帰って行く。

イケメンが嫌いな女性なんてこの世にはいないんだなぁ.....なんて、改めて思ってしまうほどに。



とりあえず、採用したことは大正解。

私の中に発生したモヤモヤを除けば。



まぁ、その原因についてもそのうち話してくれるだろうし、しばらくすれば、キラキラ笑顔にも慣れるはず。

明るいし、優しいし、温かい雰囲気がそうさせるのか、「苦手」とまでは思わなくなった気もする。



ドキドキするのはどうにもならないけど、訓練すれば、そばにいられても耐えられるようにはなりそうだ。

思ったより話しやすいし、理由はともあれ、私なんかを憶えていてくれたことも、ちょっぴり嬉しかったし.......
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