少しずつ、見えるミライ
「未帆ちゃん、良かったね~!!」

「へっ?あ、うん.....。」



沙苗ちゃんの弾んだ声で、妄想空間からふと我に帰る。

ヤバい、ヤバい、本当にヤバい!!

私、今日、何回目の一人トランス状態?

まだ半日しか、彼と過ごしていないっていうのに.......



言いたいことを一通り言い終えたせいか、彼はさっきよりもリラックスしているように見える。

反対に、それを聞いちゃった私の心拍数は、どんどん上がって行く。



彼に罪は無いし、やっぱりキュンとしちゃうくらい可愛いから、言われて嬉しくない訳ではない。

だけど、この上手く説明できない感情の持って行き所がわからないから、見つめられるだけで、年甲斐もなくソワソワしてしまう。



悪代官の意味ありげな微笑みにも、気が沈む。

彼が自然と話すように仕向けたのもこいつだし、介入されれば、話がややこしくなるのは明白だ。

もう全部聞かれちゃったから、逃げ場を失ったも同然だろう。



「前途多難」って、こういうことなのかもしれない。

彼と何とか仲良くやって行けそうだと思ったのも束の間、その比じゃないレベルの試練が待ち受けているなんて。



とにもかくにも、彼との日々はまだ始まったばかりだ。

とりあえずは、頑張れ、私。

今はもうそれしかない!?
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