少しずつ、見えるミライ
彼が家に来た最初の晩、私はベットの上、彼は床の上に敷いた布団、それぞれの床に就いたまま、こんな会話をした。

後悔はしてないけど、彼の熱意に負け、勢いで同居を始めてしまったことが、まだどこか信じられなかったから。



ちょっぴり興奮して、何となく緊張している。

でも、それが嫌な訳じゃなくて楽しい。

正直に言えば、相当ワクワクしているような気がする。



だって、昨日までは会話をする相手もいなかったのに.......

帰ったら電気が点いていて、「おかえり」って嬉しそうな声が聞こえて来た。

あったかいご飯が出来ていて、一緒にそれを食べて、テレビを見たり、笑い合ったり、何気ないようでいて、一人じゃできないことが、山のように用意されていた。



たまに誰かが訪ねて来るのとは、明らかに違う感覚だ。

それこそ、普段通りの生活の中にある、ほのぼのとした温かみ、みたいな?

もちろん、それは、相手になってくれる彼の明るくて可愛いキャラのおかげもあるんだろうけど。



今日は彼が早番で、私が遅番。

そして、R`sのクローズ作業のバイトがないから、こうして二人で、同じ時間に眠ることができる。

だけど、よくよく考えたら、そんな日は週に一度か二度しかない。

彼が同居を強く望んだのは、どうやらその辺りにも理由があるらしい。
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