少しずつ、見えるミライ
だけど、実は私が悩んでいる理由はそれだけじゃない。

もっとややこしくて、面倒だから、自分で自分が嫌になるのだ。



余計なことは何も考えず、「好き」っていう気持ちに正直になれたらどんなに楽だろう。

それが出来ない自分が嫌だから、私には素直な彼が、より一層輝いて見えるのかもしれない。



本当はわかってる。

もうとっくに、私は彼を好きなのだ。

でも、どう考えたって、簡単には「好き」って言えない。



だって、壊れない保証のある愛なんて、何処にもないはずだ。

信じていたものが崩れ去る瞬間を、私はもう二度と見たくない。



愛されてると思ってたのに、旦那は浮気をして、それをしばらく隠していた。

だから、日に日に不信感は募って行った。

悲しくて、苦しくて、いちいち攻め立てる気にもなれなくて、もう一度やり直そうなんて、とてもじゃないけど思えなかった。



なぜなら、今までの人生の中で、私を裏切ったのは旦那だけじゃない。

そんな器もないのに、夢を追っては商売を変え、うちの父は家族に不安定な生活を強いらせて来た。

自分の我儘のためだけに、何度も家族を裏切り続けた。



事業に失敗しては借金を作り、憂さ晴らしにギャンブルやら、女やらに手を出す父の言う「家族が一番」っていう薄っぺらい言葉。

子供の頃はそれでもその言葉を信じていたけど、ある程度、大人になれば、そんなの嘘って嫌でもわかる。

だから、私は父が嫌いだった。

私は死んでも父みたいな人とは結婚しないって、固く固く心に決めていた。
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