お前のために歌うから。
「瞬くん 勘違いしてるんじゃない?まだ心菜がヒロくんのこと好きとか?」


「…そうかな?」


でも、断られたことには変わりない。


肩を落とすと「よし、直接会いに行きなさい」とまさかのお言葉。


「は!?何で?」


「可愛くお願いしたら大丈夫!もっと自信持ちなよ!」


また根拠のないこと言って…。


でも…。一年に一回だけの誕生日。


今行かなきゃ絶対後悔する…。

電話をぎゅっと持って暫く考える。



もう無理だったらそれでいいや。


せっかく気付いた恋、どうせなら思い切り頑張ってみよう。

そう自分に言い聞かせて大きく頷く。


「茜ありがと…!行ってみるね!」

「よーし、行ってらっしゃい」


茜が電話の向こうでガッツポーズしてるとは知るはずもなく。


あたしは瞬のマンションに向かって走った。
< 25 / 59 >

この作品をシェア

pagetop