最も危険な  ルームシェア
私は仕方なくリビングに戻った。

津田さんはキッチンにいた。

「何か飲む?」

彼は私の返事を待たずに炭酸水をビンごと手渡した。

「あの、津田さんは滝野さんとお知り合いなんですか?」

「俺とゆずると友里は兄弟なんだ。」

「ご兄弟?」

「3人とも父親が違うから姓も違うが。」

「そうでしたか。」

私はこの短い時間で驚くことばかりだった。

彼らの母親は一体どういう女性なんだろう。

「ところで、君はなぜここに決めたんだい?」

「最初滝野さんとは知らず、一度は辞退したんですが、急いでいたので。」

「大家であるゆずるが承諾したことだし俺も君と同じ立場だ。よろしく。」

津田さんは私に握手を求めた。

私は差し出された彼の手を軽く握った。

彼は私の手をふんわりと握り返した。

「で、俺の部屋はどこ?」

「こちらです。」

真ん中の個室に案内した。

「奥がゆずるか。」

「はい。」

「じゃ、俺は荷物を持って来るよ。」

「お手伝いしましょうか?」

「いや、女性に運ばせるのは俺の流儀に反するからね。」

津田さんは私にウインクした。

私は彼がそういう人だとは思いもよらなかった。

彼のオープンなところに好感が持てた。

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