最も危険な  ルームシェア
先ほどバイト広告の時給を見て驚いた。

家賃の高さと食費をザッと計算したら

何を食べられるのかさっぱり頭に浮かんでこなかった。

「あの、つかぬことをお伺いしますが、住み込みで探しているのですが?」

「・・・・・」

不動産屋のご主人は私を不思議そうに見た。

「母さん!」

彼は奥の部屋へ声をかけた。

「はい、何でしょ?」

出てきたのは柔らかい感じの中年女性だった。

「この子、どうかね?」

奥さんが私の頭のてっぺんから爪先までを

じっくりと見た。

「近頃見ないべっぴんだねぇ。品があるよ。」

「家は鎌倉で、自立したいと親御さんを説得してきたそうだ。」

「今時珍しいね。」

不動産屋のご夫婦は私にお手伝いさんの仕事を紹介してくれた。

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