even if

liar

夏休み明け、生徒たちはみんな真っ黒に日焼けしている。

まぁ、一年生と二年生だけだけど。

男子生徒の中には、一ヶ月で背がぐんと伸びた子もいた。
みんな元気そうで、安心する。
始業式の日は、朝からたくさんの生徒が遊びにきて、保健室は賑やかだった。


だからなのか、渋谷くんは保健室に顔を出さなかった。


おとつい、会ったばかりなのに、早く会いたいと思っている私がいる。

誰かに見つかるかもしれない、と思う気持ちよりも、渋谷くんが好きだと思う気持ちが勝ってしまう私は、教師として失格かもしれないけど、そんな気持ちも渋谷くんの笑顔を見ると、ゆるゆると溶けてしまうんだ。

真夏の真っ白なソフトクリームみたいに。
ゆるゆると。

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