恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

横に座ろうとする男と声が重なる。


「いらっしゃい、彼女の待ち合わせって

こいつ⁈」


はいと頷く。


「大輔さん、お久しぶりです」


「本当に久しぶりだなぁ。他所で浮気し

てたんだろう‼︎」


「その言い方だと誤解生むからやめて下

さいよ。俺、この店一筋ですよ」


「はいはい、そう言う事にしておいてや

るよ」


彼の視線はマスターから私に向く。


「待った?」


「いえ、ちょっと前に来たので大して待

ってないです」


「そう、なら良かった」


カウンターにそっとビールを差し出すマ

スター。


そして、キッチンへと消えていった。


グラスに口をつけゴクンと飲む。


横目で隣の男飯島さんを見ると、肘をテ

ーブルにつきこちらを見て笑顔を向けて

いた。


この男の笑顔は反則だ。


ただでさえ女性を惹きつける容姿をして

いるのに魅了する笑顔。


ちゃんと自分をわかっていて、その笑み

で女を虜にしてるのだ。


ドキドキして顔を見れないじゃない。


しばらくの沈黙。


「昼、お店で君の頭触った時に綺麗な髪

だなぁと思ってたんだ」


突然、髪に触る男。


驚き彼を見る。


「やっとこっち向いた」


クスッと笑う男。


もうなんなの⁈


驚いてる私を置いて話を始める。


「昼間の話だけど…『お待たせ』」


頼んでいた生ハムと野菜をサンドしたバ

ケットが一口大にカットして出てきた。


「これはサービスにしておくから」


「えっ、いいんですか?ありがとうござ

います」


「雅樹の彼女ならサービスしないと…」


「ち、違いますよ。彼女じゃないです」


「えっ、さっきの2人の様子からそうだ

と思ったんだけどな。違ったか⁈」


隣の男に確認するマスター。


「残念」


肩をすくめ口角を上げる男。


「まぁ、昼だけじゃなく夜もお店に来て

よ。これは、これからもよろしくって事

でサービスね。じゃ、ゆっくりして行っ

て」


マスターは、優しく微笑むとお店に入っ

てきたのお客の元へ向かった。


「金森さん、お昼によく来るの⁇」


「はい、友達とランチしに来ますよ。昼

間に話てた隣の店舗の子と…」


「あぁ、あいつのご執心の子ね」

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