【完】復讐の元姫
アイツは俺等を裏切った。
その事実は、変わらないのに。
自分の中で、何かが欠けてる気がする。
それの答えも、とっくに出てるけど。
でも。
『ねぇ、凌』
『あ?』
『凌は、自分のことが嫌いだって言うけど』
『………』
『私も麗も、みんなも。
凌のこと、大好きだから』
いつか、アイツが。
またそう言って、笑ってくれるんじゃないかって。
戻ってきてくれるんじゃないかって。
そう信じてる自分に、笑える。
「(本当、は)」
──誰にも平等に接するアイツのことが、好きだった。