【完】復讐の元姫



「私こそ、いつもありがとうございます。

毎週のようにお邪魔して、すみません……」



「謝らないで?麗にとって初めての大切な、彼女だもの。

汐乃ちゃんが来てくれるだけで、嬉しいのよ?」



麗に、大切だって言われるのは当たり前に嬉しい。



でも、彼のお母さんである彼女に言われるのは、もっと嬉しい。



好きな人の母親に気にいられるのが、どれだけ嬉しいか。



「なんなら、いっそのこと住んでほしいぐらい。

そんなこと言ったら、汐乃ちゃんを困らせちゃうけど」



「い、いえ……!

そう言っていただけるだけで嬉しいです」




ただ、私の家が家だから。



彼と住む、というのはなかなか実行できなさそうだ。



「ふふ、本当に?

それじゃあ、私はそろそろ部屋に戻るわね」



くすっと笑ったおばさんに、「はい」と笑顔で返事してすぐ。



「汐乃」



石鹸の香りとともに、後ろから抱きすくめられた。



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