【完】復讐の元姫



え……どういう状況ですか、これ。



「れ、麗さん?」



「……つけてるんだな」



「えっ?」



深い声色で囁かれると、背筋がざわざわする。

振り返ってしまえば、至近距離に彼がいることはわかっていて。



呼吸を見失いそうで振り返ることができずにいれば、彼の指が、触れたのは。



「あ、うん。そうなの」




2年前に彼がくれた、オレンジ色のシュシュ。

普段使いもできるけれどすこしだけ特別な時につけるそれは、お気に入りのひとつ。



「麗……?」



だめだ、甘い雰囲気が充満してきた。

はやくもどって、4人で夕食にしたいのに。



このままじゃ呑まれてしまう。



「ねえ、」



「静かに」



「っ……」




< 384 / 392 >

この作品をシェア

pagetop