【完】復讐の元姫



悔しい、とは思うけど。



まぁ、いまは俺ら付き合ってるってことになってるからねぇ。



「負け、認めねぇの?」



「認めるわけっ、」



「でもアイツ、どう見たってシオしか見えてねぇよ?」



「っ……」



たぶん、奈々は。



「嫌よ、絶対認めないっ」



シオが1番、嫌いなんだろう。



シオが、奈々に復讐したいように。




「私は、シオのこと嫌いだもん!」



俺を涙目でキッと睨んで。



「絶対許さない」



そう言った奈々は、颯爽と幹部室へと戻っていった。



まるで。



奈々がシオに復讐するみたいだな、なんて。



思わず笑った俺のことは、きっと。



──誰も見てなんか、いないんだろう。



【時雨sideend】
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