歩道橋で会おうね。







大きめのマンションはどうやら記憶を失う前から僕が羽菜さんと住んでいた場所らしい。

僕の部屋だと通された場所には、確かに僕好みの家具が置かれていた。




「そういえばハルキ。
教えておいた方が良いわよね?」

「何がです?」



僕は義理の姉である羽菜さんと出会ってから、敬語が抜けなかったようなので、敬語を使って話しても、何の問題もなかった。




「わたしたちが何故姉弟になったのか。
それと、わたしたちの両親。
ハルキさえ良ければ、あなたの失った記憶も話すけど?」



確かに、何故姉弟になったのかと、両親の話は聞いておきたい。

しかし。



「僕の失った記憶に関しては話さないで良いです。
僕自身で思い出しますから」



僕がそう答えるのを知っていたかのように、羽菜さんは頷いた。



「わかったわ。
記憶喪失の人間は、記憶を失う前と後で性格が変わる場合があるって聞いたけど、嘘みたいだわ。
ハルキはあんまり変わらないわ」



あんまり?



「変わった部分、あるんですか?」

「…まぁ多少はね。
気にしないでも良いからね」



それから羽菜さんは話し始めた。

何故姉弟になったのか、何故両親は僕の前に現れないのか。







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