歩道橋で会おうね。
「では何故銀を?」
「…亡くなったハルキの父親の姓が、銀のもので。
フミヤさんと同じ名字なのは、偶然ですよ」
「なるほど…それで銀か」
男性は納得したようで、再び嘘くさい笑顔を浮かべた。
僕は颯天と知り合ってから、颯天の特技である、人の笑顔が嘘か本当か見分けられるようになっていた。
颯天は1人で本を読むうちに、自然とその特技が身についたようだ。
「初めましてハルキくん。
わたしは水川幸雄(ゆきお)。
よろしくね。
で、隣にいるのがわたしの娘、羽菜」
羽菜さんが、ペコンと頭を下げる。
何も話していなかったから、大人しい子だと思っていたが、なかなか積極的な子らしい。
本当の笑顔を浮かべながら、僕を見る。
「ハルキ。
幸雄さんはね、ワタシの旦那様よ。
ハルキにとっては新しいお父様になるわね」
…え?
この人が、新しいお父さん?
てか僕、本当のお父さんについては亡くなったとしか聞いていないから、新しいも何もないんだけど。
この人がお父さんになるのなら、羽菜さんはお姉さん?
「ハルキくんの名字は、これから水川になるんだよ?」
「みずかわ…?」
「わたしの息子になるからには、今の学校も転校だね」
転校?
嫌だ、颯天と別れるなんて。
僕は首をブンブン横に振った。