歩道橋で会おうね。







「では何故銀を?」

「…亡くなったハルキの父親の姓が、銀のもので。
フミヤさんと同じ名字なのは、偶然ですよ」

「なるほど…それで銀か」



男性は納得したようで、再び嘘くさい笑顔を浮かべた。


僕は颯天と知り合ってから、颯天の特技である、人の笑顔が嘘か本当か見分けられるようになっていた。

颯天は1人で本を読むうちに、自然とその特技が身についたようだ。



「初めましてハルキくん。
わたしは水川幸雄(ゆきお)。
よろしくね。
で、隣にいるのがわたしの娘、羽菜」



羽菜さんが、ペコンと頭を下げる。

何も話していなかったから、大人しい子だと思っていたが、なかなか積極的な子らしい。

本当の笑顔を浮かべながら、僕を見る。



「ハルキ。
幸雄さんはね、ワタシの旦那様よ。
ハルキにとっては新しいお父様になるわね」



…え?

この人が、新しいお父さん?

てか僕、本当のお父さんについては亡くなったとしか聞いていないから、新しいも何もないんだけど。

この人がお父さんになるのなら、羽菜さんはお姉さん?



「ハルキくんの名字は、これから水川になるんだよ?」

「みずかわ…?」

「わたしの息子になるからには、今の学校も転校だね」



転校?

嫌だ、颯天と別れるなんて。

僕は首をブンブン横に振った。








< 201 / 259 >

この作品をシェア

pagetop