妖華にケモノ
「あ、君は」

その声の主はまさに昨日の高尾と呼ばれる男性。高尾は歩みを止め身体をこちらに向けて歩いてくる。

「ちょ。高尾!」

「高尾様!!」

高尾は後の人の止める声を無視して私の方へ向ってズンズンと近づいて来る。
目の前でピタリと止まると、手元にあった風呂敷に視線を向け口を開く。

「葉月。案外早いものよな。なんだ?その包み」

「着物を届けに来ました」


それだけ言って帰ろうとしたが。すぐに引き止められる。

「...嬉しい。君に逢いたくてたまんなかった。......おいで」

瞬間、腕を引っ張られ肩に腕をまわされる。
それと同時に周りの女性たちから罵声のようなものがとんできた。


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