《詩集》虚構の復路

針鼠

『針鼠』

貴方の願いは
いつか来る死の間際に
絶望を抱かないこと

その失敗を恐れてか

利益のみを受け入れて
排他的に振る舞って
日の光さえ厭うように

小さな世界だけを見て生きていた

頬を捕らえて覗き込んだなら
まるで害なんて無いような
優しい瞳が其処に在るのに

誰よりも臆病で
傷付くことに不慣れなまま

薄闇を背負って震える背中は
私の好きな獣に似ている
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