たった一人の甘々王子さま


「は~食べた、食べた~。もうお腹一杯」


シャワーのあと、ルームサービスを取って美味しい食事を堪能。
優樹はお腹を擦りながら満足げ。


「ほんとによく食べたね。」


食後のコーヒーを飲みながら浩司も微笑む。
昨夜から昼近くまで、ずーっとベッドの上で過ごしていたのだからお腹も空く筈。
それも、かなりの運動量だったのだから。


「ねぇ、浩司」


「なんだい?優樹もコーヒー飲むの?」


「ううん、飲むけど......あのね」


優樹の視線はキョロキョロ。
段々と頬が赤くなっていく。


「父さん達に.........いつ言うの?」


「ん?何を?」


浩司は、解っていてもそ知らぬ顔。
優樹の困り顔もまた可愛くて見つめる。


「だ......たから、その.........」


用意してもらったコーヒーを一口飲みながら目線だけ浩司に向ける。
浩司も自分のコーヒーカップを持ち優樹のとなりに座り、自然と口角が上がる。


「......ニヤついててムカつく!」


優樹が悪態をついても


「優樹が可愛いから仕方がないね。あと、ニヤついてるのではなく、微笑んでるの。」


笑顔で答える。


「浩司ばっかり......」


今度はむくれる。


「何が?」


「......いつも余裕で、ムカつく......」


「一応、優樹よりもお兄さんですから......」


優樹の手にしたカップを奪い、テーブルの上に戻すと浩司は『チュッ』とキスを。


「社長には、夏に日本へ戻ったときに許可をもらったんだよ。今回のプロジェクトが成功したら優樹にプロポーズしたいってね。だから、もう知ってるよ。昨日の電話で結果報告した時に『頑張ってこい!』と背中も押してもらえたしね。.........まぁ、頑張りすぎて優樹に無理させちゃったよね」


「ほ、ほう......」


「...なに、優樹?梟(フクロウ)にでもなったの?......まぁ、何になろうが優樹のことは手放さないからね。可愛くなるのも俺の前だけね。わかった?」


「ほぅ......」


全て、優樹の知らないところで計画されて、事が運ばれて......
浩司の作戦勝ちか?
騙された訳ではないのだが。


「優樹?」


「ほぅ......」


「おーい」


「ほぅ......」


「......今から抱くよ?」


「ほぅ............っ、え?」


「俺の話、聞いてる?」


「え?き、聞いてる......」


慌てる優樹に、浩司も微笑む。


「さて、来年の春には式を挙げるんだから準備に取りかからないとね!年が明けて引き継ぎが終わったら日本に帰るから、優樹も勉強頑張ってね」


『料理にドレス選び、色々楽しみだねぇ~』


なんて、残りのコーヒーを飲んでいる浩司に目が点になる優樹だった。


『はぁ?ちょっと何でその話が進んでるの?』


優樹が怒っても笑顔の浩司。



浩司のプロポーズは、大成功......かな?

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