病愛。【完】
また今日も一日が過ぎ去っていく。




窓から見える茜色の空を見てそう思う私。





毎日、私は一日の変わっていく空と…










「ただいま。綾香。」





恭平を目に映すだけ。




私は恭平を少しだけ見るとすぐに目を伏せた。




最近では私は言葉すらも発さなくなってしまった。









「どんどんお前は俺の理想のものになっていくなぁ…」





いきなりそんなことを言い出す恭平。




私はジロッと恭平を見る。




「そんな目で見るなよ。」




恭平が笑う。




そして…私の頬をなでる。




「俺はな…人形になってほしいんだよ。綾香に。」





人形…





私は…以前、恭平にカッターナイフで脅された時のことを思い出した。




そう。あの時、恭平は…





私を「コレクション」にすると言った。




私の命を奪って人形にする、そのようなことを言っていた。








____嫌な予感しかしなかった。






恭平は…まだ私を人形にしたいと言っている。




ということは、私は…





「大丈夫だぜ。痛いのは一瞬。すぐに楽になるから。」






恭平はそう言うと、小さなサバイバルナイフをポケットから取り出した。







「っ…!いやっ!やめて…っ」







足りないんだ。恭平は。




私をこの部屋に閉じ込めておくだけじゃ、ダメなんだ。
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