家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


教室のドアを開けると丁度授業中で、クラスメイトからの視線が痛い。


「おい、神代。どこに行ってたんだ。授業30分も遅刻してるぞ」


体育教師のようなガタイのいい国語教師が睨む。


「…すみません、少しお腹を壊してしまって」


力なく微笑んでみせれば、困ったかの様な表情をし、何も言わなくなった。


クラスの派手そうな女子が忌々しそうにあたしを見てくる。


それを横目に窓際の後ろから2番目の席という何とも微妙な席に腰を下ろした。


鞄の中からルーズリーフを出し、黒板に書かれた文字を機会的に写していく。


内容なんて当然耳に入らなくて、お腹空いたな〜と溜息を溢す。


昼休み、ご飯を食べる間も無く、さっきの女子達に呼び出され知りもしない罪をなすりつけられた。


お陰で、あたしはお腹が鳴りそうな程にお腹が空いている。


…それなら教室に戻らなかった方が良かったかも。


あ、でも駄目か。


お弁当は生憎鞄の中にしまってある。


何でか、この学校のあたしに対するいじめは先生に気付かれないように、物には手を出して来ない。


相変わらず、教科書たちは無事なままだし。


ただ、呼び出されてグチグチ言われてさようなら。


暴力も全然で、たまにしか手を出してくる人なんていなくて、今日はたまたま手を出された。


まぁ、なんと平和的ないじめでしょうか。


ここの女の子達は多分ビビリが多い。


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