●全力妄想少年●

・彼女を探して

「小林くん、それは愛じゃなくてただの片思いだよ」


同じ4年1組の、自称「恋愛女王」鈴木絵梨佳さんに相談を持ちかけたのは、その日の昼休み。
何かアドバイスをもらうはずが、開口一番手厳しいことを言われてしまった。


「何も知らないんでしょう?名前も、お仕事も」


そうだけど…、と僕は消えそうな声で返事をする。


「そもそも、もう一度会ってどうするつもりなの?」


……確かに、僕はもう一度彼女に会って何がしたいのだろう?
そんな簡単な見通しも立てぬまま、鈴木さんに相談を持ちかけている僕は……バカだ。


「小林くんって勉強はできるのに恋愛のことは全然知らないんだね」


返す言葉を机に求めてるかのように、僕はじっとうつむいて黙りこんでしまった。
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