白い海を辿って。

久しぶりに彼女の名前を聞いたのは、職場の先輩である理瀬さんからだった。

偶然再会したという話に、素直にいいなと思っている自分に驚いた。


なぜか妙に記憶に残る生徒だった。

大人しくてどちらかというと目立たない子だったけれど、その静かな佇まいが気になった。


なれなれしく声をかけてくる女子生徒は沢山いるし、たまに告白もされる。

面倒にならないように断りながら、内心バカバカしいと思っていた。

少し年上で、狭い車内で2人きりになっただけで好きだと思う、くだらない勘違い。


そう思いながら、彼女がその中の1人になってくれないかと期待している自分がいた。


先輩の早見先生が気にかけている様子を何度か見て、何かあるのかなとは思っていた。

でも結局それを確かめられるほどには距離を縮められないまま彼女は卒業していったし、その後会う手段もなかった。


理瀬さんの話もただ偶然再会しただけでその後に何かあった風でもなかったから、そのときは気にもとめていなかった。

だけど聞いてしまった。

早見先生と理瀬さんが彼女の話をしているのを。



< 108 / 372 >

この作品をシェア

pagetop