白い海を辿って。

守りたいもの。


【Haruta Side】


ポロポロと涙を流す彼女に、心がかき乱されてたまらない。

信じてほしいと、俺だから話せると、そう言ってくれた震える声を安心させたくてぎゅっと抱きしめる。


理瀬さんと何かあったことを隠しているんじゃないかと疑ったわけじゃない。

ただ不安だった。

俺だけを見てくれていると確信したかった。



「ごめんな…ゆっくりでいいから。落ち着いてからでいいから。」


初めてここで彼女の頭に手を置いたときに避けられた体と、あの怯えたような表情が忘れられない。

簡単には言えないようなことが、何かあるのかもしれない。

そう思ってはいた。


それを今、俺に話そうとしてくれている。

俺だから話せると、そう言って胸の中で泣いている。

それだけで、信じるには充分すぎるほどだった。



「飲み物、温かい方が良かったかな。」

『大丈夫。ありがとう。』


少し落ち着いて俺の腕から抜け出した彼女は、泣き顔を見られることが恥ずかしいみたいに水面だけを見ている。



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