イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 セーラが桃華の肩をポンと叩いて去っていくと、桃華は俺を見据えた。

 さあて、どう出る?

「結局、私はあなたと寝たんですか?」

 桃華は単刀直入に俺に聞いてきた。

 彼女らしい。

「どう思う?」

ニヤリとしながら彼女を見据える。

「質問に質問で返すなんてずるいです。こっちは真剣なんだから茶化さないで下さい」

桃華は俺を睨みつける。

だが、全然怖くない。

「もし寝たとしたらどうする?俺の女になる?」

「うん」とは言わないのはわかっているが、あえて聞いてみる。

すると、予想通り、拒絶の言葉を彼女は口にした。

「なりません。記憶から消すまでです。で、どっちなんですか?」

真剣な顔で彼女は詰め寄るが、俺は素直に質問に答えなかった。

「なぜ俺じゃ駄目なの?理由を聞かせてくれない?俺の誘いに応じない女なんて初めてなんだよね?」

「論点ずれてますよ。私は誰の女にもなりません。男なんていなくったってちゃんと生きていけます」

「それで本当に幸せなの?人の温もりが恋しくなる事ない?」
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