イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「でも、恋って落ちるものよ。選ぶんじゃなくてね」

 最近、何でみんなそんな話するの?

 恋をしなきゃいけない法律なんてないでしょう?

 恋をしないのだって個人の自由じゃない。

「私には縁のない話ですよ」

自慢じゃないが、二十七年間ずっとおひとり様だったのだ。

「そうかしら?」

 セーラが意味あり気に微笑すると、誰かが扉をノックした。 

「お嬢さん方、準備はいい?」 

「ええ、今終わったとこ」

 セーラが扉を開けると、タキシード姿の瑠海とイーサンが現れた。

正装すると、ふたり共さらにイケメンに見えるんだけど。

 考えてみたらこの三人、王族だよね。すごくゴージャス。

 そんな中にいる私って、ものすごく場違いじゃない?

「今日も素敵だね」

 瑠海はセーラの頬に軽くキスをすると、私をチラリと見た。

「馬子にも衣装」

 そう評して瑠海はニヤニヤする。
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