イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「お前がそれを言うのかよ」

「一応、兄だから。俺にはお前が悪あがきしてるようにしか見えないけど」

「今からひとりに決めるなんてもったいないだろ?瑠海、お前なら俺の気持ちわかるよな?」

 イーサンが俺の肩をポンと叩いて同意を求めるが、否定した。

「全然。女なんてどれも一緒だろ。悪いことは言わない。セーラにしとけよ。気心知れてるし、良いじゃないか」

妹を勧めるが、イーサンは「うん」とは言わない。

「お互いよく知ってるから刺激がないんだよ。良いよな、瑠海は。日替わりで女違うじゃないか」

「俺には決まった女なんていないからね。それに、俺の場合はビジネスだよ。貪欲な女に勘違いされても困る。俺は永続的な関係なんて嫌なんだよ。顔や身体だけの女は劣化も早い。数十年後も顔を見たいとは思わないな」

「酷い男だな。こんな冷たい男なのに、何故モテるんだか……」

呆れ顔のイーサンに向かって、ニヤリとする。

「お互い利用価値があるから。それだけだ」
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