イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 桃華っていつの時代の人?

 明治?大正?

 笑いが込み上げてくる。

 彼女といるとこんな状況なのに楽しい。

 桃華の頬を優しく撫でると、優しく口づけた。

 冷たいその唇。

 桃華の身体もまだ冷たい。

 自分も彼女の隣に身を横たえると、そんな彼女を背後からぎゅっと抱き締めた。

「俺の熱を全部奪ってよ」

 桃華ならいい。

 俺の何もかも全てを君に捧げよう。

 俺が欲しいのはひとつだけ。

 外は吹雪でも、桃華がいるだけで心は温かくなれる。

 心が満たされる。

「おやすみ、桃華」

 お互い目覚めたら、宿題の答え合わせでもしようか。
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