イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 前の人買わないで~。

 次はいつ入荷するかわからないのよ。

 前の人はバッグを手に取り、首をひねっている。

 買うの? 買わないの?

 迷うなら買わないで!

 買うな~。

 私の祈り……いや、怨念が通じたのだろうか。

 前の人が苦笑しながら席を立った。

 ついに……私のとこに来た。

バッグが光り輝いて見える。

 恐る恐るバッグを手に取り、感触を確かめた。

「……凄い。綺麗な赤」

 鏡に映る自分とシャーリーを見て放心。

 ホーッと息をつく。

 二十一歳、映画を見てシャーリーバッグに憧れる。

 二十二歳、社会人になって老後の資金を貯めつつも、バッグ購入のため貯金をする。

 二十四歳、バッグの購入のお金が溜まりシャーリーに通い始める。

 二十七歳、ついに憧れのシャーリーに出会う。
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