イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 桃華の艶やかな髪を撫で落ち着かせる。

 十分ぐらいそうしていると、やっと落ち着いたのか桃華が呟いた。

「……すみません。帰ります」

「桃華のバッグは俺が預かる」

 俺の言葉に桃華は力なく頷く。

 タクシーを呼んで彼女を乗せ、俺はバッグを手に持ち店に戻った。

「悪いけど、今日はお開きにして。ここの支払いはイーサンにさせるから。これで飲み直すといい」

 俺は財布から数万取り出しイーサンの秘書に渡すと、まだ気持ち悪そうにしているイーサンの目の前にシャーリーバッグを置いた。

「イーサン、お前、自分が何やらかしたかわかってる?」

「……え?」

ポカンとした顔で俺を見るイーサンに、イラッとした。

「桃華のシャーリーバッグの中に吐いたんだよ。まだ新品なのに。お前、どう償うつもりだ?」
< 92 / 311 >

この作品をシェア

pagetop