(仮)flower
自分の席に着いてすぐに窓の外を眺める。
この教室は1階だから、校庭に咲く桜の木が良く見える。
ハラリ、ハラリと舞い落ちる花びら。
見ていると、真っ黒になったはずの私の心が、ほんの少し軋んだ様な気がした。
「・・・あれ・・?ヨリ・・・?」
私のすぐ近くで聞こえた声は、聞き覚えのある声で・・・。
ハッキリとは覚えていないけれど、確かに聞き覚えがある声で・・・。
私は、声のする方に顔を向けた。
「あぁ、やっぱり!・・・あれ?ヨリって・・・ハタチじゃ・・なかった?」
眉間を寄せて私にそう声を掛けてきた相手は・・・あぁ、うん。
確かに私は知ってる。
少し長めの柔らかそうなカフェオレ色の髪を片編み込みした、色気ダダ漏れのこの男。
3日・・・いや、4日前か・・・。
私が・・・フラリと入ったBARから・・・『お持ち帰り』された相手・・・だ。