なんて俺様!



「…いっ…てぇ……」

「ははは、豚汁が何だって?根本」


豪快にスッ転んだ男は体を擦りながら上半身を起き上がらせる

その周りは厳つい男達がニヤニヤと不適な笑みを浮かべながら囲んでいた


「………」


しかし冷静な目付きで周囲を見渡した男は、他の男達よりも不気味な笑みを溢した

それは正しく鬼の様な笑みだった…



「…って、ゴチャゴチャ言ってないで早く退け!!!」


思わず叫んだ私は背中にのし掛かる重みに耐えきれず、男のケツをバチィンと平手打ちした

とても良い音に聞こえたそれは案外痛かったらしい

跳ねる様に私から退いたその男は仰天した顔付きで私を見つめた



「………え、なに?」

「なに?ってなに!!?
アンタがぶつかって来たんでしょーが!!」

「え?そうなん?
はは、悪ぃ悪ぃ
小さくて気付かなかったわ」

「はっああああ!!!?」

「つかさ、…ぶっ
そんな怒んなよ
超こぇー顔してっぞ?」

「余計なお世話だああああああ!!!!」


失礼極まりない男に周囲など関係なく怒鳴り散らす私

そんな私を見ていた厳つい男達は、茫然としたまま微かに言った


「…あの【番長】だ…」


その言葉に気付けない程に怒り狂った私だったが、それでも当事者である目の前の男はヘラヘラと笑うだけであった



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