最低王子と恋の渦

「ご、ごめんなさい…」



「うん。確かに田中さんはひねくれてるし特別可愛いわけじゃないし自分に自信が持てないのも分かるけど」






ここにきて罵倒ですか…。






「お願いだから、女の子だってちゃんと自覚してよ。

じゃないと俺の身が持たない」







そう言いながら、三鷹くんは私の目の前で足を止めた。




そして、座ったままの私をゆっくり抱き締める。







「……ごめんなさい…三鷹くん…」



「うん」



「ちゃんと自覚します…」



「そうして」



「……わ、別れない？」



「…は？」



「私に呆れて別れようって思ってない…？」



「……馬鹿」








そうして三鷹くんは更に私を強く抱き締めた。


ぎゅうっと三鷹くんに包み込まれ、私は安心感で自然と涙を流してしまっていた。









「別れるなんて微塵も思ってないよ」



「ほ、ほんとにぃ…？」



「言ったでしょ。田中さんに夢中だって」









そう言って三鷹くんは抱き締めたまま私の肩に顔を埋める。

その温もりに、思わずドキッとしてしまう。



…良かった。

ほんとに良かった…。