最低王子と恋の渦





「田中さん達のことだからこの辺の店にいると思って歩いてたら窓からこのファミレスの中が見えてね」




三鷹くんはハァと溜息をついた。



…それはまた偶然ですな。




「ふーん。ていうか三鷹くん。さっき美乃ばっかり守るようなこと言ってたけど私はどーなるのよ私は」


「澤村さんは別に余裕そうだったからね。田中さんなんて見てられないくらい困ってたみたいだったし」


「…え、そんなに顔に出てた?」


「うん。ていうか相手そんな怖そうでもなかったんだからハッキリ断われよ」




三鷹くんの言葉に私はうっと言葉を詰まらせた。



…すみませんねヘタレで。




……でも、


本当に…助けてくれて安心した。



嬉しかった…………うん。




「あとやけに彼氏みたいなこと言ってたね三鷹くん」




ニヤニヤした顔で三鷹くんを見る菜々。



確かに。

名前呼びのこととか隣とか。


それは気になった。




「…ああでも言って彼氏だと思わせないと向こう引き下がらないかなって思って」




三鷹くんは涼しげに微笑みながら言う。



ああ、なるほど。

そうかそういうことなら納得いくね。



菜々は「へぇ~」と言いながら自分のジュースを飲んだ。



…あれ?


そういえば三鷹くん、



西垣さんに呼び出されてたんじゃ…?







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