Trick or Treat?


ええっと、これは。


驚きで目を見開いていると、一瞬由良くんと目が合う。


由良くんはぽかんとする私に、また肩を震わせると私の肩に顔を乗せてしばらく笑っていた。


何で私こんな笑われているんでしょうか。




顔を上げた由良くんは、面白さのあまり出てしまった涙をぬぐいながら、


「……はあ、一年分くらい笑った」

「あの、由良くん」

「なに?」

「……ええっと、その……、」


さっき、キスしようとしてたのに。

言葉に出すのも恥ずかしくて、詰まらせてしまう。


「───期待、した?」


「え」


「残念、しないよ」



そういいながら、由良くんは引き寄せていた腕を離してクスリと笑った。


「なに、残念そうな顔して。

 本当はしてほしかった?」



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