Trick or Treat?


「そ、それは……まあ、あの、私……由良くんの彼女です」


じいっと見つめられたまま、このセリフを言うのは何回目だろう。


相変わらず慣れないし、恥ずかしい。

「ほんと?」


「……は、はい……」


「俺のこと、好き?」


「す、……くうう」


こんな教室の中で、そんなことを言わせようとする由良くんの性根の悪さって言ったらっ。

恥ずかしくて、そんなこと言えるわけないって分かったうえで言わせようとしてる、絶対。


ぎゅうっと、制服のスカートを握りしめながら、小さく、小さく、


「す…………き、……デス」

「そ」


そ。って!

頑張ったのにっ、そ。って!

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