龍乃一味のカオスな学園生活
ゴミ袋を手に、軍手を付けた冬樹が校内を歩き始める。

これまでは彼の父親である防人が、清掃や備品の修理を一手に引き受けていたのだが、流石に一人では無理だ。

真面目で朴訥な冬樹が美化委員になったのは、ある意味心強い。

「あ、冬樹君お疲れ様でーす」

保健室に向かう途中の保健委員・セレナが声をかける。

「……」

手を止め、ペコリと頭を下げる冬樹。

「ごめんなさい、冬樹君だけに大変な仕事押し付けてしまって」

「……………………………………?」

シンキングタイム長いな、冬樹。

「大変とは…この仕事の事ですか…?」

「はい、寒いし、汚れちゃうし」

セレナは言うが。

「いえ…」

冬樹は緩々と首を横に振る。

「お世話になり、宿直室を住居として貸して下さっている学園です…このくらい…当然の事です…」

流石小岩井の血筋、模範回答。

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