【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


そう促され、立花さんが用意してくれたご飯を二人で頂いた。
納豆にお味噌汁、鮭にほうれん草の御浸しといういつものメニューだったがデイビットさんは写メを撮るぐらい喜んだ。

バスローブ代わりに、デイビットさんが借りてきた浴衣が、190センチのモノが無く子供のようにツルツルテンな浅黄色の浴衣でついつい笑ってしまう。

「ああ、これは駄目です。麗子さんに私用の浴衣を作って貰わなければ」

「じゃあサイズを測らなきゃですね」

「メジャーで、ですか?」

首を傾げる姿が可愛くて笑おうとして拳をつくり口元に運んでいた左手を止める。

母は、私の身長や肩幅など測りもせずに、ちゃんと仕立ててくれていた。
そしてサイズはピッタリ。
私の事なんて見てないと思っていたのに、やはり母は私の母なんだ。

「デイビットさん」

「はい?」

「賭けは貴方の勝ちですね」

その言葉に優雅に納豆を混ぜておいた手を止める。
不思議そうな顔をしたので笑っておく。

今、貴方にキスしたくなりました、なんて言ってあげないんだから。
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