【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


桔梗さんが半年で仕事に戻って来たのは、私の妊娠のせいかと謝ったら全然違うからと叱られてしまったのがつい最近で。


この春月堂も、幹太さんの提案で新しい企画でバタバタと忙しい中での大使館での御茶会の和菓子30箱の注文。
朝から幹太さんは色んな場所で指示出しをしているから、きっと彼は瞬間移動が使えるんだと思う。
いつの間にか違う場所に居る。

「おい、美麗」

例の瞬間移動の彼が、私たちの後ろから暖簾を掻きわけてやってくる。

確か、さっき店の入り口から出て行ったはずなのに。

「どうしました?」

もうすぐ八カ月の大きなお腹で振り返ると幹太さんは親指でくいっと後ろを示した。


「悪阻で餡の匂いが駄目なんだろ。店じゃなくて大使館に運ぶ手伝いの方と交代しろ」

私のマスクを見ながら心配げにそう言われたら、少し迷う。

「そうだよ。此処は私だけで良いから行っといで」

桔梗さんまでそんな事、言ってくれるのは嬉しいけど、仕事中のデイビーに会うのは未だにまだ少し照れてしまう。

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