君と、優しくて愛しい日々を。


朝起きて、目を見開く。

隣に寝ている彼女と、その碧色の髪を見て、俺は呆然とした。



『出会いは、偶然だった』



……この碧の髪が、もっと短かった頃。



俺は、貴族だった頃のジェイドを、知っていたんだ。







ミラゼと共に仕事をしていた、まだ十一歳の頃。

俺とミラゼは依頼を受けて、ある貴族邸へ忍び込んでいた。


上級貴族からの依頼のために、今回は俺とミラゼの他に、同業の数人と組んで行動していた。

依頼の内容は、ある貴族家の男の動向を見張ること。

その日忍び込んだのは、その問題の男が用あって偶然訪れた、下級貴族の邸だった。

…当時は、その邸がどこの家のものなのか、なんて、何の気なしにミラゼから聞いていたけれど。



まさにそれが、リズパナリ家の邸だったんだ。



『…なぁ、ミラゼ。暇』


俺とミラゼは、リズパナリ邸の庭にそびえ立つ大きな木の枝に潜んで、窓から邸の様子を伺っていた。


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