イクメンな彼氏
「寝てるの?
可愛いなぁ、悠奈」

去年のクリスマスに私のお腹に宿っていた小さな命は、4ヶ月の赤ちゃんに成長した。

「寝かしつけ苦労したんだから、起こしちゃだめだよ」

「えぇー、抱っこしたいなぁ」
完全にデレデレになっている彼を引っ張って、カントリー風の屋台の列に並ぶ。

美味しそうなラズベリーの匂いが漂ってくる。「マグカップ入り2つ下さい」

『2016』と書かれたマグカップに並々と注がれた赤色の液体。

美味しそう……。

ツリーの前のベンチに座ってカチン、と乾杯したのに、「比奈はこっち」とワインは紙コップに入ったジュースへと変身してしまった。

「えー」
頬を膨らませるけど、「悠奈が酔っぱらったらどうすんの。俺が代わりに飲んであげるから」と意地悪な顔をする。

記念日の一口ぐらいいいじゃない。
悠斗さんは真面目なんだから。
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