絶望の部屋(再)
「そう言えばあんたら最初の武器は何にしたの?」
そう聞いてきたのは栞の友達の七瀬七海だった。七海はロングヘアの黒髪で雰囲気は大人しそうで可愛らしい感じの子だが中身は意外に怖い子だった。雰囲気と中身の違いがこれほどある子はいないだろう。
まぁある1人に対する態度は除いてだけど。
 
 
 
 
それにしても武器ってなんのことなんだろ…
武器と言われ思い当たるものは何一つ持っていなかった。
むしろ寝坊して無一文でここに来たぐらいだった。
 
 
「武器って…なに?」
 
それを聞いていた同じグループの奴らが凍ったような目つきでこっちを見てきた。
 
やはりまずかったみたいだった。
この時点で大方の検討はついていた。武器はたぶん今から始まるゲームに使われるのだろう。だが僕と一也は寝坊したことによって何も持ってきていない。僕なんて携帯すら部屋に忘れてきたぐらいだった。
 
 
「あんたら本気で言ってるの?
 
武器もなしに来たんじゃ死ににきたようなもんよ。」
 
 
確かにそうだろう。
武器も持たずに戦場に送り込まれるようなものなんだから。
 
やってしまった。一也はなぜか知らないが妙に余裕だし全くわけがわからなかった。
 
 
「やっぱりまずいよね?」
 
 
「まずいなんてもんじゃないわよ。死にに来たようなもんじゃない。
 
なんでルールブック読んでないのよ。」
 
 
ルールブックは読んだよ。最初だけ。
 
 
 
こんなことは言えるはずもなく僕は肩身がもの凄く狭くなった気分だった。
 
 
そして七海がこんなに必死になって心配してくれるのは僕の為ではないだろう。
おそらくいや、絶対と言っていい。
彼女は一也に惚れている。
僕と一也に接する態度では天と地の差というほど違いがあるところから大体の検討は最初からついていた。
 
一也の前では見た目通りの可愛さを見せる一面は少し羨ましいぐらいだった。
 
 
「まぁなんとかなるって。」
 
ようやく口を開いた一也は謎の自信に満ちた顔をしていた。
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