絶望の部屋(再)
「あの…なんでそんなに怒ってるの?
 
 
何か悪いことしたなら謝るから…そろそろ口ぐらい聞いてよ。」
 
 
それからと言うものずっとツンっとした態度で僕を無視し続ける栞にひたすら謝り続けるが許してくれる気配は全くと言っていいぐらいになかった。
 
 
どうしたらいいんだろ…
 
 
女の子ってみんなこうなのかな?いや希はこんなんじゃなかったよな…
希を基準にしたらダメか。あいつは女の皮をかぶった悪魔だからな。だいたい希の性格はサバサバしすぎのところがあるからな…
まぁこんなこと本人の前で言えば顔が吹き飛ぶだろうから言えるわけないがな。
 
って今は希じゃなくて栞だ。
顔が似てるからと言って性格まで同じなわけないもんな…
 
 
そうこうしてるうちにいつの間にかパレードは終わり次は花火が打ち上がると放送が流れていた。
 
せっかくさっきまでは少しは脈があるかななんて思ってたのに…
脈があるどころか大嫌いとまで言われ浮かれてた気分の頂点から地の底まで落とされたような気分だった。
 
 
「ほんとに新庄君って無神経。
 
 
このままでいいの?私ほんとに違う人のところ行っちゃうからね。」
 
 
 
ようやく口を開いてくれた栞に一瞬ホッとしたが内容は複雑だ。
 
 
他の人のところ行っちゃうってな…
 
 
それは嫌だな。。
 
どうしたらいいんだ?なんて白々しいこといつまでもしていいのか?
もうお前はわかってんだろ新庄勇哉。
自分の気持ちに気づきながら相手のアプローチを傷つけたくないと言う言い訳から逃げて本当の意味で傷つけいるのに尚もどうしたらいいなんて言うお前はなんだ。
 
本当に彼女が僕のことを好きなら1番傷つくのは好きと言う気持ちを持っていながら伝えられずその相手が死ぬことだろ。
 
 
そして何も言わない僕に愛想を尽かしたかのように栞は僕から離れようとした。
 
 
その姿をみてようやく自分の体が素直になりいつの間にか栞の腕を掴んでいた。
 
 
「な、なによ。
 
もう知らないって言ったじゃない。」
 
 
 
「ごめん。」
 
 
 
「ごめんって。ごめんじゃわからないよ。」
 
 
 
「ごめん。僕怖かったんだ。
 
あんどう。。いや栞のこと傷つけるのが。でも本当に傷つけていたのは今だってやっとわかったよ。
 
 
僕は始めて会った時から君のことが好きだった。だから僕がこれからも栞のこと守るから付き合ってください。」
 
 
「え…。」
 
 
口を開き驚いた表情でこっちを呆然と見ていた。
 
 
恥ずかしくて穴があれば入りたいぐらいの気持ちだったが今は逃げちゃダメなとこだよな…。
 
 
「新庄君。今の本当なの?
 
 
私が無理矢理言わしたとかじゃなくて本当に私のことそのえっと、好きなの?」
 
 
「うん。
 
 
ごめんね。最初から気づいてたのにどっちかがいつ死んでもおかしくない状況だったからこんなことは言わない方が両方にとって幸せなのかとも思ったけどやっぱり違うってわかったんだ。」
 
 
 
「あの…。
 
 
私も始めて会った時から気になっててどんどん新庄君のことが好きなってて嫌なこと言ったりもしたけどこんな私でよかったらよろしくお願いします。」
 
 
花火が打ち上がりそれと同時に告白の返事をもらえた。
嬉しくてつい栞に思わず抱きついてしまったが栞はそれを拒まず恥ずかしそうに一言だけ発した。
 
「大好きだよ。勇哉。」
 
 
その言葉を聞き絶望の中に希望が見えた気がした。
こんな幸せがずっと続いたらいいのにな…。
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