あのね、先生。
先生はそれを今選べって言ってる。
…そんなの…
「…なんで、そんなこと言うの…」
先生の傍にいたい。
だけど、そんなこと言えない。
この手を振り払うべきなのに、ずっと離さないでほしいと思ってしまう。
「このままじゃいられないから」
先生の言う通りだ。このままでいていいわけない。あたしはすぐにでも決断しなきゃならないんだ。
何も言えないでいるあたしを見て先生は困ったようにふにゃんと笑って、掴んでいた手首をキュッと引いた。
「…ごめんね」
「え…?」
あぁそうか、先生はこんなことをあたしに決めさせなきゃならないことを謝ってるんだ。
困らせてごめんね、って。
どうしてだろう。ずっと会ってなかったのにあの時よりも先生の気持ちが分かる。