あのね、先生。

俺のその言葉に高橋は俯いて、白城は笑顔を消して真剣な顔で俺を見た。

それがもう、何よりの答え。

1人じゃない。

この人は、1人でここに来たんじゃない。


「…いや、篠原先生と一緒に来たけど」

…最悪だ。

「元美術部の子もここに通ってるらしいから、その子のとこに行ったぞ。」

誰も悪くないのにイライラした。

白城はただ中村先生に来てほしかっただけ。もしかしたらそのときに蓮くんも誘ったのかもしれないけど、だからって白城が悪いわけじゃない。


「…ふざけんなよ」

絶対とは言い切れないけど、多分茉央は蓮くんの姿を見つけて追いかけた。

「簡単に壊れんじゃん…」

…だから、俺の声に振り返らなかった。
< 117 / 328 >

この作品をシェア

pagetop