あのね、先生。

『え…分かるけど…』

「じゃあ近くのカフェで待っててよ」

半ば強引にそう言うと、茉央ちゃんは迷ってるのか黙り込んだ。

「仕事終わったら迎えに行くから」

だって多分、強引にでも誘わないと、茉央ちゃんは俺と会わないから。

加地くんと俺の間で揺れてるなら、茉央ちゃん自身じゃなくて俺がこっちに傾けてやればいい。


『でも、先生これって浮気だよ』

浮気?知ってるよ。

「うん、分かってる」

『じゃあ会うのは…』

「ダメ、絶対来て」

こう言えば、茉央ちゃんはダメだって思ってても絶対来るでしょ?

もういいから、強引に誘われて断れなかったってことにして会おうよ。

「終わったら迎えに行く。だから、ちゃんと待っててね」
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